お役立ち情報 複数の拠点を持つ企業がISMS取得で注意すべき6つのポイント

複数の拠点を持つ企業がISMS認証を取得するメリット

事業拡大に伴って、全国に複数拠点を持つ企業も少なくありません。
拠点数が多くなるにつれて、拠点間で情報セキュリティルールや従業員の意識にズレが生じてしまうこともあり、そのズレから情報漏えい事故に繋がることもあります。そのような事故を防ぐ手段のひとつに、国際的な情報セキュリティ認証であるISMS/ISO27001取得のお取り組みを通じて、効率的に体制を整備することが挙げられます。

ISMS認証の取得は、単一拠点で取得する際と比較すると、一般的には複数の拠点で取得する場合の方が難しい面もあります。
しかし、例えば次のようなメリットも存在します。

網羅的に情報セキュリティリスクを可視化できる

情報セキュリティの運用が拠点間で統一されることにより、全社的に情報漏えいや不正アクセスなど、情報セキュリティリスクの可視化を実現できます。また、リスクを可視化することで、それらのリスクへの対策を打つことができるため、リスクを低減することが可能になります。

法令規制の要求事項へ漏れなく対応ができる

ISMS認証を取得する上で法令規制の要求事項に対応することが求められますが、複数拠点を対象にISMS認証を取得する場合は、その拠点ごとに適用される法令規制とその要求事項を洗い出す必要があります。
これらの作業は大変ですが、こういった機会が無ければなかなか着手することができず、気づいた時点では手遅れで法令違反となってしまっており、企業のイメージダウンや罰金などに繋がる恐れがあります。

複数拠点を対象としたISMS認証取得の取り組みをきっかけにして、法令規制とその要求事項を確認し対応すると、そういったリスクを排除できるほか、法令規制へ積極的に対応しているとして、企業イメージの向上にも繋がります。

拠点を超えた情報セキュリティ文化が醸成できる

複数の拠点を適用範囲に含めてISMS認証を取得することで、全社員の情報セキュリティ意識向上に繋がり、企業全体として情報セキュリティ文化の醸成が期待できます。

複数拠点でISMS認証を取得する上で考えるべき3つのポイント

複数拠点でISMS認証を取得する場合は、単一拠点で取得する際にはあまり意識しない点についても考慮して体制構築を行う必要があります。複数拠点でISMS認証を取得する際は、例えば次のような点を考慮することが求められます。

拠点間の情報セキュリティ監査や教育の実施方法を検討すること

複数の拠点で情報セキュリティ管理体制や対策の効果を測るためには、定期的な監査や教育が必要です。

しかし、拠点ごとに監査員や教育担当者を配置するのは、コストや人材の面で困難な場合があります。そのため、オンラインでの監査や教育、あるいは拠点代表者による自己評価など、自社に適した効率的かつ効果的な方法を検討することが求められます。

拠点間の情報セキュリティ事故・インシデントが発生した際の報告や対応の仕組みを整備すること

複数の拠点で情報セキュリティ事故やインシデントが発生した場合、迅速かつ適切に対応するためには、事前に報告や対応の仕組みを整備しておくことが必要です。

例えば、事故やインシデントの発生時に連絡すべき窓口や手順、責任者や役割分担、対応策や再発防止策などを明確にしておくことが望ましいです。

各拠点の特性に応じた対策を講じること

各拠点での業務内容などが異なっていると、情報セキュリティに関するリスクの特性も異なる場合があります。
拠点ごとに扱うシステムやアプリケーションが異なる場合には、それぞれのシステムやアプリケーションに対するセキュリティ対策を実施する必要があります。

拠点ごとに扱うデータの重要度が異なる場合には、それぞれのデータに対するセキュリティ対策を実施する必要があります。
また、顧客情報や重要な企業情報が扱われる拠点では、アクセス制限の強化や暗号化などの高度なセキュリティ対策が必要です。

また、拠点ごとに、情報漏えいや不正アクセスなどのリスクが異なる場合もあります。
例えば、営業拠点や現場拠点では、モバイル端末やクラウドサービスの利用が多い場合が多く、そのような場合はリモートアクセスのセキュリティ対策が必要です。

複数拠点でISMS認証を取得する上でやってはいけない3つのポイント

ここまでは、複数拠点でISMS認証を取得する際に考慮すべき3つのポイントをご紹介してきました。ここからは、複数拠点でISMS認証取得する際にやってはいけない3つのポイントをご紹介します。

拠点ごとに異なるISMS運用ルールを構築すること

ISMS運用のルールは全体で一貫性を保たなければいけません。
例えば、リスクアセスメントの方法や評価の基準が拠点ごとにバラバラで一貫性がない場合、審査で重大な不適合となり得るため注意が必要です。

認証取得に向けての文書作成のみに注力すること

ISMS認証取得に向けての文書作成に重点を置いても、実際に情報セキュリティ対策を行っていない場合、認証を取得しても意味がありません。

文書作成は、情報セキュリティ対策のためのツールであり、認証取得に向けた取り組みの一部に過ぎません。文書を作りこむよりも、実態に合わせた実現可能なルールを作成することが重要ですし、作成後に関係者への周知とルールの順守が何よりも重要となります。

安易に認証を取得する範囲を限定すること

ISMS認証を取得する範囲を限定することは、対象範囲を意図的に狭めてしまっているため、その理由によっては認証の信頼性を失うことに繋がります。また、範囲から外れた部署がずさんなセキュリティ運用を行うことが原因でインシデントが発生し、結果として全社に影響がでることも考えられます。

その他、範囲の限定が認証取得後に拡大された場合、再度の認証取得が必要になり、想定外のコストが発生してしまう恐れもあります。認証取得範囲を限定したい場合は、事前にしっかりと検討する必要があります。

複数の拠点を持つ企業がISMS認証を取得する際のポイント

ISMS認証取得に向けて複数の拠点を含めて運用体制を構築する際には、注意すべき事項が多く存在しています。
これらの課題をクリアしながら確実なISMS運用体制の構築と認証取得を実現するためには、各拠点の担当者や従業者の協力が必要不可欠です。協力を得ながらスムーズにお取り組みを進めるためには、次のような対応を行うと良いでしょう。

  • 各拠点の責任者に情報セキュリティの重要性を理解してもらうこと
  • 各拠点において情報セキュリティの担当者を任命すること
  • 責任者や担当者と密なコミュニケーションをとり認識を合わせること

また、スケジュールにおいても、極端に短い期間や根拠のない想像に基づく期間などで設定してしまうと、お取り組みが思うように進まない原因となります。各拠点の責任者や担当者と事前にすり合わせを行い、業務量や繫忙期などを考慮して余裕を持ったスケジュールを組むことも重要です。

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また、情報セキュリティ教育クラウド「セキュリオ」で、効率的にISMSを運用できます。ISMS認証取得をご検討されている方や社内の情報セキュリティ体制整備にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

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