国際イベントに合わせて展開されるサイバー攻撃 ― 中小企業が狙われるのか

オリンピックをはじめとする社会的に大きなイベントがあると、それに呼応するかのようにサイバー攻撃の件数も増えます。それでは、なぜ攻撃が増えるのでしょうか。理由は、攻撃者が「世間の関心」に便乗するからです。

多くの人が注目している話題は、メールの件名やサイトの見出しに使うだけで、つい開きたくなる“誘い文句”になります。「大会の最新情報」「チケットのご案内」「関連キャンペーン」——このような装いのメールは、普段より警戒されにくいのです。

さらに、イベント期間の前後は、関連する案内や問い合わせ、取引が実際に増えます。
本物のメールが飛び交う中では、偽物が紛れ込んでも気づきにくくなります。繁忙で確認がおろそかになりがちなことも、攻撃者にとっては好都合です。加えて、海外からの関係者や観戦客を狙った偽サイト・偽メールも増え、巧妙な偽装が出回りやすくなります。

そして、こうした波に最も巻き込まれやすいのが、対策の手が回りにくい中小企業です。
話題性と繁忙、そして警戒の緩み——この3つが重なるタイミングを、攻撃者は見逃しません。

代表的な手口である「便乗フィッシング」とは?

こうした場面で典型的なのが「便乗フィッシング」です。話題の出来事に便乗し、本物そっくりのメールやサイトを使って、情報やお金をだまし取る手口を指します。

よく見られるのは、次のようなものです。
公式サイトや主催者を装った案内・キャンペーン・当選通知のメール。本物に似せた偽のチケット販売サイトや、「無料で見られる」とうたう偽の配信サイト。寄付やボランティア募集を装ってお金や個人情報を集めるもの。交通・宿泊の予約確認を装うメールやSMSなどもあります。

業務の場面では、取引先や公式機関になりすました問い合わせ・請求や、イベント関連を口実にした偽の依頼メールにも注意が必要です。こうしたメールのリンクや添付ファイルを開いた瞬間に、ウイルスに感染したり、入力したIDやパスワードが盗まれたりします。

だまされないための見分け方

では、どう見分ければよいのでしょうか。完璧に見抜くのは難しくても、次のポイントを押さえるだけで、被害の多くは防げます。

まず、メールの送信元アドレスをよく見ること。
公式そっくりでも、よく見ると文字が一つ違っていたり、見慣れないアドレスになっていたりします。

次に、メール内のリンクや添付ファイルを安易に開かないこと。
公式サイトを確認したいときは、メールのリンクからではなく、検索やブックマークから直接開くのが安全です。

また、「緊急」「本日限り」「ご当選」など、焦らせたり得をうたったりする文面は、まず疑ってかかることが重要です。
心当たりのない当選や依頼、どこか不自然な日本語も、見破るヒントになります。

そして何より、少しでも「おかしい」と感じたら、一人で判断せず、社内で確認・報告することです。

次のイベントに向けて、今からできる備え

最後に、次の機会に向けて、今から準備できることをまとめます。

一つは、従業員への一言の共有です。「大きなイベントの前後は、それに便乗した不審なメールやなりすましメールが増える」と伝えておくだけで、警戒心はぐっと高まります。

もう一つは、基本の徹底です。パスワードを使い回さない、本人確認を二段階にする(多要素認証)、機器やソフトを最新に保つ、そして「おかしいと思ったらすぐ報告する」習慣づくり。
これらは、イベントの有無にかかわらず、あらゆる攻撃への基本の守りになります。あわせて、よく使う公式サイトはあらかじめブックマークしておくと、偽サイトへ誘導されるリスクを減らせます。万が一にそなえ、困ったときに相談できる窓口をあらかじめ決めておくことも、落ち着いた対応につながります。

まとめ

国際イベントは、開催国や開催地域をさらに発展させる大きなチャンスであると同時に、攻撃者にとっては絶好の“便乗”の機会でもあります。次に愛知県で大きな国際イベントが開かれるときも慌てずに済むよう、今のうちから小さな備えを一つずつ積み重ねておきましょう。

「話題のメールほど、一呼吸おいて確かめる」——その習慣が、あなたの会社を守る何よりの対策になります。

愛知県サイバー攻撃対策ナビ2026