ISMS関連法令シリーズ 【不正競争防止法(1)】

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高橋 昌志 記事一覧
カテゴリー: 法律,

ISMSの規格であるJIS Q 27001:2014(以下、本稿において単に「規格」と表記します)の附属書A18.1.1で求められる「適用法令・・・の特定」。このシリーズでは、多くの組織でISMSの適用法令として特定されている法令に関してざっくりと解説していきます。

今回は、「不正競争防止法」について見ていきたいと思います。

不正競争防止法とは?

そもそも不正競争防止法は何のための法律なのでしょうか。同法の目的を見てみましょう。不正競争防止法(以下、「法」と表記します)1条では、「・・・もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的」としているとあります。つまり、自由主義経済の前提のもと、経済取引を完全に各人の(個人や企業の)自由に任せていると、どこかで「ズル」をする人が出てくる可能性があります。そしてそれを放置していると、秩序のないやりたい放題の状況に陥ってしまいます。そこで、そのような「ズル」をしないようにルールを定めたのが、不正競争防止法です。

「不正競争」とは?

不正競争防止法は読んで字のごとく「不正競争」を「防止」するための法律です。では、不正競争とは何でしょうか。先ほどの言葉でいう「ズル」が不正競争にあたります。どんな行為が「不正競争」とされているのでしょうか。法2条1項では、「不正競争」に該当する行為を25個列挙しています(それ以外にもいくつかの禁止行為が規定されています)。

ここでは、そのうちのいくつかの行為の類型を見ていきましょう。

不正行為類型①「営業秘密の侵害」

まず、法2条1項4号から10号には、「営業秘密の侵害」に該当する各行為が不正競争として定義されています。

「営業秘密」の定義は法2条6項に規定されており、3つの要件(秘密管理性、有用性、非公知性)が揃っている必要がありますが、ざっくりいうと「このノウハウを他人に知られたら会社の競争力がなくなってしまう」といった情報や、「あの取引相手との取引内容を同業者に知られたら不利になってしまう」という情報を一定の場合に営業秘密として守りますよということが書かれています。

不正行為類型②「限定提供データの不正取得」

次に、11号から16号には、「限定提供データの不正取得等」に該当する各行為が不正競争として定義されています。「限定提供データ」は、法2条7項に規定されており、「業として特定の者に提供する」、「相当量蓄積され」、「管理されている」、「技術上または営業上の情報」が電子化されたデータが該当します。

こちらもまた別の機会に詳しく見ていきますが、技術的な情報や営業上の情報が蓄積されたデータはビジネス上の価値があるため、そもそも特定の人に販売するために集めたデータが他の人にコピーされた場合、そのデータを作成した人が得るはずであった利益が得られなくなるなどの損害が発生します。そこで、一定の要件を満たす場合にそのようなデータを保護しますということが書かれています。

不正行為類型③「その他の類型」

上記のほかにも、周知表示混同惹起行為(他人の商品等に似せた商品を販売する等)(1号)、著名表示冒用行為(他人の有名なブランド名などを勝手に利用する行為等)(2号)、技術的制限手段の効果を妨げる装置等の提供(17号及び18号)、ドメイン名の不正取得等(19号)などの行為が不正競争の類型として挙げられています。

おわりに

今回挙げた各不正競争に対しても、防止の方法や違反した場合の罰則等に関する規定は異なります。また、同法により保護される要件(行為者からすると処罰される要件)もそれぞれの行為類型によって異なってきます。

自分の会社のこの情報は保護されるのか、保護されるようにするにはどうすればいいのか(管理方法等)といったことを知ることは、情報資産の保護の観点からも有用です。ぜひ一度、自社が関係しそうな不正競争類型に関しても確認してみてはいかがでしょう。

ISMS関連法令シリーズ 【不正競争防止法(1)】

カテゴリー: 法律

ISMSの規格であるJIS Q 27001:2014(以下、本稿において単に「規格」と表記します)の附属書A18.1.1で求められる「適用法令・・・の特定」。このシリーズでは、多くの組織でISMSの適用法令として特定されている法令に関してざっくりと解説していきます。

今回は、「不正競争防止法」について見ていきたいと思います。

不正競争防止法とは?

そもそも不正競争防止法は何のための法律なのでしょうか。同法の目的を見てみましょう。不正競争防止法(以下、「法」と表記します)1条では、「・・・もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的」としているとあります。つまり、自由主義経済の前提のもと、経済取引を完全に各人の(個人や企業の)自由に任せていると、どこかで「ズル」をする人が出てくる可能性があります。そしてそれを放置していると、秩序のないやりたい放題の状況に陥ってしまいます。そこで、そのような「ズル」をしないようにルールを定めたのが、不正競争防止法です。

「不正競争」とは?

不正競争防止法は読んで字のごとく「不正競争」を「防止」するための法律です。では、不正競争とは何でしょうか。先ほどの言葉でいう「ズル」が不正競争にあたります。どんな行為が「不正競争」とされているのでしょうか。法2条1項では、「不正競争」に該当する行為を25個列挙しています(それ以外にもいくつかの禁止行為が規定されています)。

ここでは、そのうちのいくつかの行為の類型を見ていきましょう。

不正行為類型①「営業秘密の侵害」

まず、法2条1項4号から10号には、「営業秘密の侵害」に該当する各行為が不正競争として定義されています。

「営業秘密」の定義は法2条6項に規定されており、3つの要件(秘密管理性、有用性、非公知性)が揃っている必要がありますが、ざっくりいうと「このノウハウを他人に知られたら会社の競争力がなくなってしまう」といった情報や、「あの取引相手との取引内容を同業者に知られたら不利になってしまう」という情報を一定の場合に営業秘密として守りますよということが書かれています。

不正行為類型②「限定提供データの不正取得」

次に、11号から16号には、「限定提供データの不正取得等」に該当する各行為が不正競争として定義されています。「限定提供データ」は、法2条7項に規定されており、「業として特定の者に提供する」、「相当量蓄積され」、「管理されている」、「技術上または営業上の情報」が電子化されたデータが該当します。

こちらもまた別の機会に詳しく見ていきますが、技術的な情報や営業上の情報が蓄積されたデータはビジネス上の価値があるため、そもそも特定の人に販売するために集めたデータが他の人にコピーされた場合、そのデータを作成した人が得るはずであった利益が得られなくなるなどの損害が発生します。そこで、一定の要件を満たす場合にそのようなデータを保護しますということが書かれています。

不正行為類型③「その他の類型」

上記のほかにも、周知表示混同惹起行為(他人の商品等に似せた商品を販売する等)(1号)、著名表示冒用行為(他人の有名なブランド名などを勝手に利用する行為等)(2号)、技術的制限手段の効果を妨げる装置等の提供(17号及び18号)、ドメイン名の不正取得等(19号)などの行為が不正競争の類型として挙げられています。

おわりに

今回挙げた各不正競争に対しても、防止の方法や違反した場合の罰則等に関する規定は異なります。また、同法により保護される要件(行為者からすると処罰される要件)もそれぞれの行為類型によって異なってきます。

自分の会社のこの情報は保護されるのか、保護されるようにするにはどうすればいいのか(管理方法等)といったことを知ることは、情報資産の保護の観点からも有用です。ぜひ一度、自社が関係しそうな不正競争類型に関しても確認してみてはいかがでしょう。

Author: 高橋 昌志
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