景品表示法はクジ引きにも該当する?事例や対策方法も交えて解説

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景品表示法は製品やサービスの販売に関して、景品や懸賞などのクジやおまけをつける場合の制限と、商品の価格や性能などの表示に関するルールを定めている法律です。

製品やサービスの販売を行う際、おまけをつけることで顧客に楽しんでもらおうと考える場合もあるでしょう。しかしながら、過剰な景品は消費者の射幸性をあおり、不当な取引を誘発するとして景品表示法により制限がかけられています。

本記事では、製品やサービスの販売における景品、懸賞の制限について詳しく解説します。
近年、禁止となったソーシャルゲームのコンプガチャについても事例として取り上げています。

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景品表示法についておさらい

景品表示法は、消費者を「不当な景品」や「不当な表示」による被害から守る法律です。
景品により射幸心をあおって物を販売する、価値が低いものを表示により高く見せて販売する、機能や性能を偽って販売する、といった行為を禁止しています。

景品表示法の正式な名称は「不当景品類及び不当表示防止法」で、昭和37年に定められ、以降近年に至るまでも改定が繰り返されています。

景品表示法で禁止しているのは大きくは二つです。一つは、過剰な景品の禁止です。もう一つは、商品やサービスの品質、内容、価格などの不当な表示を禁止しています。本記事では、「過剰な景品を禁止する」規制について扱います。

景品表示法における景品とは

景品表示法では、下記の4つの条件すべてを満たす場合が景品とみなされます。

  • 客を誘引するための手段として
  • 本体商品・サービスの取引に付随して提供する
  • 物品・金銭・その他の経済上の利益
  • これら3つにあてはまるもののうち、国が指定するもの

国の指定については「景品規制に関するガイドライン」を参照ください。

景品表示上の景品は大きく4つに分けられています。

  • 一般懸賞
  • 共同懸賞
  • 総付景品
  • オープン懸賞

これらの景品について、それぞれ最大の金額が定められています。

一般懸賞、共同懸賞

懸賞とは、「くじ等の偶然性、特定行為の優劣等によって景品類を提供すること」です。
複数の事業者による懸賞が共同懸賞、それ以外を一般懸賞と呼びます。

総付景品

懸賞によらない景品を総付(そうづけ)景品ベタ付け景品と呼びます。来店しただけでもらえる景品や、一定数の先着順などで配る景品も総付景品に該当します。

オープン懸賞

「新聞、テレビ、雑誌、ウェブサイト等で企画内容を広く告知し、商品・サービスの購入や来店を条件とせず、郵便はがき、ファクシミリ、ウェブサイト、電子メール等で申し込むことができ、抽選で金品等が提供される企画」を一般にオープン懸賞と呼びます。このようなオープン懸賞には、景品規制は適用されません。

※平成18年の規制撤廃までは1000万円の上限規制がありました。

景品表示法に違反した場合には

景品表示法に違反した場合、行政による指導が行われます。

景品表示法への違反の疑いがある場合、消費者庁により資料の収集、事業者への事情聴取などの調査が行われます。調査により違反行為が認められた場合には、不当表示による誤認の排除や再発防止策の実施などの「措置命令」が取られます。また、課徴金の納付を命じる場合もあります。

景品表示法はクジ引き(懸賞)でも対象になるのか

景品表示法における景品の4つの条件については、前項に記載したとおりです。また、クジ引きは多くの場合、一般懸賞に該当するでしょう。

結論として、クジ引きで上記の「景品」を配る場合には、景品表示法の対象となります。

景品の分類ごとの限度額規制について

景品には分類ごとに、限度額が設定されています。

一般懸賞

一般懸賞の場合、限度額として最高額、総額の二つが定められており、両方の条件を満たしている必要があります。また、懸賞による取引の価額が5000円を境に、最高額、総額は変わります。

取引の価額が5000円未満の場合

最高額:取引の価額の20倍

総額:懸賞に係る売上予定総額の2%

取引の価額が5000円以上の場合

最高額:10万円

総額:懸賞に係る売上予定総額の2%

共同懸賞

共同懸賞の場合、限度額として最高額、総額の二つが定められており、両方の条件を満たしている必要があります。この条件は取引の価額に関わらず適用されます。

最高額:30万円(取引の価額に関わらず)

総額:懸賞に係る売上予定総額の3%

総付景品

総付景品の場合、取引の価額が1000円を境に、景品類の最高額が定められています。

取引の価額が1000円未満

最高額:200円

取引の価額が1000円以上

最高額:取引の価額の10分の2

オープン懸賞

平成18年に上限額の規制が撤廃されています。

景品表示法においてクジ引き(懸賞)で違反となった事例

近年で、景品表示法においてクジ引き(懸賞)で違反となった事例として、ソーシャルゲームのコンプガチャの規制が挙げられます。

ソーシャルゲームのコンプガチャの規制

「ガチャ」とは、オンラインゲームの中で、オンラインゲームのプレーヤー(消費者)に対してゲーム中で用いるキャラクターやアイテム等を供給する仕組みのことです。
なお「ガチャ」には、無料と有料があり、規制の対象となったのは有料のものです。

コンプガチャ(コンプリートガチャ)とは、ガチャの中でも特定のアイテムを全種類集める(コンプリート、コンプ)ことによりレアアイテムを入手できる仕組みです。ガチャは基本的に偶然に支配されているため、コンプのためには複数回のガチャを行うことが前提となります。

通常の有料ガチャは、金銭の提供と引き換えにアイテム等の利益を受けるため、取引そのものであるとされ、景品表示法の景品には該当せず、景品表示法の規制対象とはなりません。

コンプガチャはいわば「有料のガチャのおまけ」にあたります。このため、景品表示法に定める景品類に該当し、景品表示法の規制対象となります。そして、コンプガチャは懸賞による景品類の提供に関する事項の制限の懸賞景品制限告示第5項(特定の組み合わせを用いた懸賞)に該当するため禁止行為となります。

その他に近年の違反事例はない

消費者庁の掲示情報では、2018年以降、景品表示法の景品、懸賞に関して違反となった事例は掲載されていません。少なくとも、発表は無いようです。

反対に、近年身近にみるクジとして、コンビニの一番クジや祭りの屋台のクジがあります。
しかし、これらは商品に付随するものではなく、クジが商品そのものであるため景品表示法の対象にはなりません。当たりくじが入っていないなどの場合には、詐欺罪が適用されます。

景品表示法に抵触しないためのクジ引き(懸賞)の対策

クジ引き(懸賞)を行う場合に、景品表示法に抵触しないようにするための対策について紹介します。

基本的な確認としては、まず実施しようとしているクジ引きが一般懸賞、共同懸賞、総付景品、オープン懸賞の景品の4つの分類のいずれに該当するかを確認しておきましょう。
分類を確認後、分類ごとの最高額、総額の条件を確認します。景品の額面に関する条件については、この手順で確認しましょう。

その他の条件については、消費者庁の景品に関するQ&Aなどを参照して確認しておきましょう。

景品表示法の詳細はガイドラインを確認

各種の懸賞や総付景品の配布を行う場合には、景品表示法に違反しないよう注意が必要です。景品表示法の詳細については、ガイドラインで確認しましょう。

また、消費者庁の公開する「事例でわかる景品表示法 不当景品類 及び不当表示防止法ガイドブック」も分かりやすく参考となる資料です。

景品表示法を教育するための効率的な手段とは

景品表示法は、各種の懸賞や総付景品の配布を行う場合や、広告、看板、チラシ、ネット、店舗での表示などあらゆる場面で適用されることがあります。これらの業務に関わる人が広く学習することが求められる法律です。

しかし、法律について集合型の研修やテキストの配布などの学習方法はハードルが高いものです。多くの人が自由な時間に気軽に学習できる方法としてeラーニングの活用が挙げられます。

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まとめ

景品表示法はクジ引きなどの各種懸賞における景品の制限や、商品の販売における表示について定めた法律です。クジ引きなどを行う際には、景品表示法の景品に該当するか、懸賞の分類ではいずれに該当するかを確認し、景品の価格などを定める必要があります。これら、景品表示法について従業員教育などを行う場合には、セキュリオなどのeラーニングの利用が効率的です。

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