情報セキュリティリスクの一覧とは?リスクの対策方法と共に解説

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情報セキュリティリスクとは、情報の機密性完全性可用性を損なうリスクのことです。
適切な対策が講じられていなければ、リスクはインシデントやアクシデントを引き起こし、情報漏えい、金銭的被害、社会的な信用の失墜につながります。

企業がセキュリティリスクをどのように認識、対策するべきか、本記事ではセキュリティリスクの一覧化とその一つ一つへの対策の紹介をします。

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情報セキュリティリスクとは

情報セキュリティリスクとは、組織や個人の情報システムやデータに潜む潜在的な脅威や危険性のことを指します。機密性・完全性・可用性といった情報セキュリティにまつわる損失や被害の可能性を示すことができます。

ここでいうデータの機密性完全性可用性とは、それぞれ以下の通りの意味です。

機密性(Confidentiality)

機密性とは、情報が、外部へ漏えいや暴露されないことを表します。機密性の確保は、データがその所有者や関係者のみからのアクセスを許可することです。
例えば、個人情報や企業の秘密情報、取引データなどはとくに機密性を保たなければなりません。

完全性(Integrity)

完全性とは、情報に間違いがなく、最新のものであり、欠損がないことを指します。当然ですが、不正確で適切な制御がされていない情報は利用するに耐えないためです。
ここには、データの入力規則や文書更新の管理、データの破損・誤転写防止、といったことも含まれます。

データを利用しやすいよう適切に管理することと情報セキュリティは、実はつながっているのです。

可用性(Availability)

可用性とは、データやシステムが必要なときに適切に利用可能な状態にしておくことを指します。
例えば、システムの障害や攻撃によるサービスの中断を最小限に抑え、連続的な運用を保つことが可用性の目標です。

こうした原則をしっかり守ることこそが情報セキュリティ対策であり、情報資産の適切な保護となります。

情報セキュリティリスクの一覧

情報セキュリティリスクは、情報の機密性・完全性・可用性を脅かすリスクと言い換えることができます。

セキュリティリスクは複数の要素が折り重なっているため満遍なく対策することが求められます。以下、オーソドックスなリスクですので、必ず押さえておいてください。

情報の機密性に対するリスク

機密性に対するリスクは、具体的には次のようなものです。

不正アクセス

マルウェア標的型攻撃を通じた不正アクセスは、情報の機密性を脅かします。

ヒューマンエラー

従業員がうっかり情報を口外してしまう、うっかり社外に持ち出してしまう、うっかりサイバー攻撃を許してしまう、といったことで、情報の機密性が脅かされます。

盗難・盗聴

サイバー攻撃や従業員の意識に拠らずとも、物理的な侵入や古典的な方法で重要情報が盗まれてしまうこともあります。

内部脅威

悪意のある従業員や退職者によって企業の重要な情報が不正な利用に合う可能性もあります。

情報の完全性に対するリスク

完全性に対するリスクは、具体的には次のようなものです。

データ改ざん

ウイルス・マルウェアや標的型攻撃を通じた不正アクセスにより、データが改ざんされてしまうこともあります。

ハードウェア障害

適切なバックアップを取っていなかった場合、ハードウェアの故障・障害によってデータが欠損してしまうリスクがあります。

ヒューマンエラー

誤操作や誤入力によるデータの不備も、れっきとした脅威です。

サイバー攻撃

悪意ある第三者が意図的なサイバー攻撃を仕掛け、重要情報を盗み出したり、使えなくしてたりしまう場合もあります。

情報の可用性に対するリスク

可用性に対するリスクとは、具体的には次のようなものです。

サービス停止

利用しているサーバーが自然災害やその他原因によって停止すると、情報へのアクセスが損なわれます

ネットワーク攻撃

DDoS攻撃(量のトラフィックやリクエストを送りつけることで、サービスやシステムの正常な動作を妨害する)やそのほかのサイバー攻撃によってネットワークに負荷がかかり、サービスの利用停止につながります。

ハードウェアの故障・障害

ハードウェアの障害であったり、サーバーやストレージの障害であったりによって情報が利用できなくなるかもしれません。

ヒューマンエラー

誤操作やミスで情報が利用できなくなってしまう可能性があります。

セキュリティリスクを生じさせる原因とは?

整理すると、下記のようになります。

情報漏洩

機密性の高いデータが外部の攻撃者によってアクセスされることで、個人情報や企業の機密情報などが漏洩するリスク。

サイバー攻撃

悪意のある攻撃者によるマルウェア、フィッシング、ランサムウェアなどの攻撃により、情報システムが乗っ取られたり、データが破壊されたりするリスク。

不正アクセス

情報システムへの不正なアクセスや権限の悪用により、機密性や完全性が侵害されるリスク。

ヒューマンエラー・内部脅威

組織内部の従業員や関係者による意図的な行為やミスによって、情報へのアクセスが悪用されたり、データが誤って処理されたりするリスク。また、サイバー攻撃や不正アクセスも従業員の不注意やミスに付け込んだものが多いため、ここは重点的に対策することが求められます。

物理的な脅威

ハードウェアやデバイスの盗難、破損、災害などにより、情報システムやデータが損失や破壊の危険にさらされるリスク。

セキュリティリスクの原因となる事象はいずれもソフトウェア・ハードウェア・あるいは組織(人)の「脆弱性」から生じるものです。セキュリティリスク対策は、これらの脆弱性に対して有効なものでなければなりません。

情報セキュリティリスク対策の一覧

情報セキュリティリスクの対策は、組織や個人が情報セキュリティを確保し、リスクを最小化するための取り組みです。

  1. リスクを正しく認識すること
  2. 脆弱性に対して有効な対策を行うこと
  3. ひとたびインシデントが起こってしまったら、被害を可能な限り最小限にすること

これらの3つの目標をもって対策を行います。

一般的に必要とされる情報セキュリティリスク対策の手法やポイントをいくつか紹介します。

リスク評価と管理

情報セキュリティリスクの特定と評価を行い、重要度や影響度などの要素を考慮して優先順位をつけます。その後、リスクに対する適切な管理策や対策を策定し実施します。

アクセス制御と権限管理

ネットワーク、システム、データへのアクセスを制限し、必要最小限の権限を与えます。適切なアクセス制御や権限管理の仕組みを導入し、認証や認可のプロセスを適切に管理します。

パスワードポリシー

パスワードの策定にルールを設け、強度の高いパスワードのみを利用するようにします。(10桁以上・数字・英小文字・大文字・記号を含む等
また、多要素認証(2FAやMFA)を導入することで、セキュリティを強化します。

セキュリティ意識教育とトレーニング

従業員や関係者に対して、情報セキュリティに関する教育やトレーニングを行います。
フィッシング対策や悪意のある添付ファイルの識別など、セキュリティ意識を高めるための取り組みが重要です。

結局のところ、セキュリティ対策を実施するのは従業員になるので、何よりもまずはここを重点的に対策しておきましょう。

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セキュリティポリシーとガイドライン

セキュリティに関する明確なポリシーやガイドラインを策定し、組織内での遵守を求めます。
これには、データの取り扱い方法やセキュリティ違反への対処などが含まれます。

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定期的な脆弱性評価とパッチ管理

システムやソフトウェアの脆弱性や、組織の中で、セキュリティリスクの高いグループを定期的に評価し、セキュリティパッチやアップデートの適用・教育研修・ルール改訂等を行います。
これにより、既知の脆弱性に対するリスクを軽減します。

バックアップと復旧計画

データのバックアップを定期的に行い、災害やデータの破損に備えた復旧計画を策定します。
重要なデータの損失を最小限に抑え、ビジネスの継続性を確保します。
復旧計画は定期的に見直し、アップデートします。

セキュリティモニタリングとインシデント対応

セキュリティイベントや異常なアクティビティを監視し、セキュリティインシデントに対する早期検知と適切な対応を行います。
セキュリティ情報とイベント管理(SIEM)ツールやインシデント対応プロセスの整備が重要です。

これらは一般的な情報セキュリティリスク対策の手法ですが、具体的な対策は組織や環境に応じて異なります。継続的な改善と最新のセキュリティ対策の実施が重要です。

まとめ

セキュリティリスクは、情報の機密性・完全性・可用性に対する脅威となるリスクのことを言います。セキュリティリスクの洗い出しと原因に即した脆弱性対策を行うことにより、リスクをコントロールすることができます。

セキュリティリスクは日常的に生じているものですので、万が一被害を受けた場合に、被害を最小限にする対策も必要です。

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