ISOとは?普及した背景、規格の種類、認証の仕組みなどを解説

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企業のホームページでよく目にする「ISO取得済み」の文字。

取得をアピールする企業も多く、国際的な認証であるため、何か信用に足るものであることは間違いありませんが、ISOとは何なのかを具体的に説明できる人は少ないのではないでしょうか。
ISOInternational Organization for Standardization国際標準化機構)とは国際間取引のための標準を定める規格を発行する団体のことです。

ISOとは?

ISOとは、正式名称は「International Organization for Standardization」(国際標準化機構)です。
ISOが制定した規格をISO規格といい、国際的な取引をスムーズにするために、製品やサービスに関して、世界中で同じ品質、同じ基準を満たしたものを提供できるように考えられた規格を指します。

ISO規格が範囲は非常に広く、

  • 工業製品
  • 技術
  • 食品
  • 農業
  • 医療

などなど、多くの分野で活用されています。

ISOには2種類の規格があり、ネジといった実物の存在する物に対して適用される規格「モノ規格」というものと、組織の品質活動や環境活動を対象とする仕組みに適用される規格「マネジメントシステム規格」です。

ISOが策定したマネジメントシステムに関する規格を「ISOマネジメントシステム規格」と呼びます。

ISOにおける「マネジメントシステム」とは

では、ISOにおけるマネジメントシステムとは一体何なのか解説します。

ISOにおけるマネジメントシステムとは、組織を効率的に動かす仕組みを表します。ISO27001(情報セキュリティマネジメントシステム規格)の場合を考えてみましょう。

例えば、自社の業務において、膨大な顧客情報を取り扱っており、それまでの自社の業務体制での管理に限界を感じている、そんな状況を想定します。

この場合、打開策として考えられるのは、

  • 外部のクラウドサービスに保存する
  • 業務を洗い出し、情報漏洩のリスクのある所を見つけ対処法を考える
  • 情報を閲覧できる人物を役職や部署で切り替え、適切に取り扱えるようにする

といった、方法です。他にも考えられると思います。

ですが、これらを達成することでどれだけの成果が見込めるのか、どんな手順を踏んでいつまでに達成すればよいのか、また、コストとパフォーマンスの比較等、なかなか具体的に検討を進めるのは困難かと思います。

こういった状況を改善するべく、状況を把握していつまでにどのように達成するのかを明確化して、システマチックに進めていき、自社の課題の解決を進めるのがISOにおけるマネジメントシステムです。

ISOの必要性

では、ここまでを踏まえて、ISOが必要と言える理由は何でしょうか。

主な理由としてあげられるのは、

  • 会社としての信頼度を上げるため
  • 取得するよう指示を受けた
  • 会社の意識をあげる

などがあげられます。

それぞれ解説します。

会社としての信頼度を上げるため

ある会社がどんなセキュリティ対策をしているのか、というのは、外部から見ていても分かりません。
そこで対外的なアピールとしてISOの取得を考えるケースがあります。

ISOを取得しているということは、国際的な規格を満たしていて、製品やサービスに一定の信頼ができるということです。

自社製品やサービスを安心して利用してほしいから取得する、というのも、大きな理由の一つでしょう。

取得するよう指示を受けた

親会社や取引先からISO認証の取得を要請されるケースもあります。
親会社や取引先にとって、自社の情報や自社顧客の情報が適切に取り扱われている状況が望ましいのはもちろん、自社のグループ企業や取引先がISO認証を取得しているということ自体がアピールになるためです。

会社としての信頼度はBtoBだけではなくBtoCにも効力があります。

規格をクリアして経営をしていることを証明するために依頼される場合も珍しくないでしょう。

会社の意識をあげる

仕事のやり方を見直していきたいと感じていたり、問題点を感じている時、ISOマネジメントの意味を理解することにより、会社に必要な改善点を、ISOの審査を通して発見できます。

これにより業務改善を行い、社内のシステムのみならず、自社の従業員により高い意識を持ってもらえるように流れを大きく変えていくことも、大きな目的です。

ISOが普及した背景

では、なぜここまでISOが普及したのでしょうか。

その理由は、1987年までさかのぼります。

きたる1987年に「品質保証のモデル規格」として初めての認証である「ISO9001」が発行されました。
当時、製造業において存在した課題として、大量生産体制の中でいかに品質に差が出ないようにするか、といったことがありました。

これに対する解として、「品質管理」という概念の下で製品品質の基準を設け、安定して基準内に収まる製品を作る考え方が世界中に浸透します。

その結果、取り組みを制度として作る動きができ、イギリスが制作したモデルを元にISOが国際規格 ISO 9001を制定しました。

つまり、ISOが普及したのは世界で「品質を一定以上に保つ」という品質管理の考えが広がったからです。
日本の企業にとっては、ISO9001の認証を取得していることで、海外へ輸出する際に信頼を得られるというメリットがあり、多くの企業が認証を取得するようになりました。

ISO規格の種類

ISOマネジメントシステム規格の種類は数多くあります。
取得すべきISO規格は、その会社の事業の種類によって変わるでしょう。

主なISOマネジメントシステム規格は、以下のものがあります。

  • ISO 27001:情報セキュリティマネジメントシステム規格
  • ISO 9001:品質マネジメントシステム規格
  • ISO 14001:環境マネジメントシステム

それぞれ紹介します。

ISO 27001:情報セキュリティマネジメントシステム規格

ISO27001とは、2005年10月に発行されたISMSの国際規格の一つです。
ISMSとはInformation Security Management Systemの略語であり、日本語では情報セキュリティマネジメントシステムと訳され、企業はこの要求事項にしたがって情報管理システムを構築して運用する必要があります。

日本では、ISO27001規格を邦訳したJIS Q 27001規格が利用されています。
また1年に1度の維持審査や、3年に1度の更新審査を受ける必要があり、第三者からのチェックを定期的に受けていることを証明できます。

また、ISO27001の企画は2022年に改訂され、取得済み企業はその対応が必須になっています。LRMでは、この規格改訂で企業が対応すべき内容をPDF資料で公開しています。まずはご確認ください。

ISO 9001:品質マネジメントシステム規格

ISO 9001は、QMS(Quality Management System)、品質マネジメントシステムの規格です。
一番普及しているISO規格と言って差し支えないでしょう。

170ヶ国以上、100万を超える組織で利用され、日本ではISO9001を翻訳したJIS Q 9001という名目で知られています。

詳細は、こちらの記事からご覧ください。

ISO 14001:環境マネジメントシステム

ISO14001は、EMS(Environmental Management System)、環境マネジメントシステムの規格で、環境を保護したり、環境目標の達成を実現するためのマネジメントシステム規格です。

コンプライアンスを推進したり、企業価値の向上の他に環境リスクの低減や、省エネルギー省資源によるコスト削減を目指し、社会経済的ニーズとバランスをとりながら、環境保護のために必要な、組織の枠組みを示した規格です。

ISO認証の仕組み

ISO規格の認証を取得するためには、各規格の要求事項を満たす必要があります。
ISOそれぞれのマネジメントシステム規格には「要求事項」と呼ばれる基準が定められています。

認証機関は、組織がこの要求事項を満たしているかどうかを、第三者である認証機関が審査して認証を与えることで、組織は社会的信頼を得ることができます。

日本には「日本適合性認定協会JAB)」と「情報マネジメントシステム認定センターISMS-AC)」という二つの認定機関があります。

どの規格の認証取得を目指すかが決まっている場合、要求事項を確認し、適合するように改善が必要な業務を洗い出して、改善していきましょう。

まとめ

ISOについて解説しました。
ISO規格を取得することで、社外との取引で、信頼を勝ち取れたり、(社内)組織のシステムを見直し、社内体制が整備されるといったものが考えられます。
ISOにはさまざまな規格がありますが、上記のメリットはどの規格にも共通していると言えるでしょう。

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